連載小説『スカイファング外伝』



ちゅーわけで、突発的に小説なんて書いてみる。
じつわ、不特定多数に匿名以外で小説を公開するのは初めてだったり。
という訳で誤字脱字報告、文に関する批評は甘んじて受ける覚悟で。


後最後に選択肢があるので、コメントに書き込まれたら
その内容が次回更新時に反映されるようになっています。
投票とかしてもらえるとうれしいです、後ついでに感想とか
書き込んでもらえると多分創作全般で更新速度が向上します。
こう、SP速攻を使った感じに。


後、一応スカイファングの外伝なので原作未プレイの人には
ネタばれ的な要素や、意味の分からない部分も存在します。
そういうところが気になる人は本編をプレイしてから読んでください。




コックピットを開くと、そこは血の海だった。


「うへぇ……」


言葉とも呼べない音が口から漏れる。
事実、言葉を口にしたいのではなく無数の人の死体
具体的に例を挙げるならば、腐乱死体惨殺死体刺殺死体
死体が細切れになったミンチ、後は俺の貧弱な語彙では表現できないような死体。


まあ、そんなものが積み重なっている光景を見て臭いをかいで
感じた不快感を吐き出したかっただけなのだから。


リュウ君、はやくしようよ……」


歪な人型から俺の幼馴染の声がする。


その人型の名は天槍。突如として出現した謎の侵略者
カオスティアに対抗するために作られた人型機動兵器であり。
そして、今の俺たちが生き残るために必要不可欠な存在でもある。


「リサ…… お前、本気でやる気なのかよ」


むかむかする、同属が死んでいるのを見て感じる嫌悪や
同情や自分がそうなるのではないかという予測とは違う。


単純に汚物を、汚らしい物を目の前にして感じる
不快感を感じながら俺はげんなりとした。


「うん。回収できる分は回収しないと」


そう言って、ワイヤーを使って器用に天槍のコックピットから10mほど下の地面に降り立つと。
死体をよっこらしょとひっくり返し身元が確認できるようなものが無いかどうかを調べている。


その死体から湧き上がるように出てくる蛆虫も
そのきれいな手に泥のように粘つく肉の破片が張り付くのも
一切気にならないように、死体を調べてゆく。


今はまだ早朝で、気温も高くなくその臭いも耐えられないレベルではないが
日が上がるにつれ、嫌悪感を抜きに吐き気を耐えられなくなるだろう。


そういう確実な予感、では無く実体験からくる予測を感じながら俺も
コックピットから地面に降り、手短な死体に手を伸ばし懐をまさぐり始める。


「ん…… これは、財布か?」


開いてみると中身に二十万円ほどの札束が詰まっていた。
少々、この財布の持ち主にあきれると同時に同情していまう。


カオスティアと呼ばれる化け物との戦闘に破れた人類は衰退の一途
……いや、かろうじて月面プラントからの物資支援を得ることで
どうにか滅び朽ちるまでの時間をほんのわずかに先延ばししているに過ぎない。


融通の利かない月面プラントから支援物資を受け取る方法はただ一つ。


まるで、人類に恐怖を与えることが目的化のように振舞う、無限の戦力を
持つとしか思えないカオスティアを狩り、その戦果の分だけの物資を
投下ポットによって届けてもらうしかないのだ。


即ち札束なんぞ、二年位前は町で腐るほど配っていたポケットティッシュ以下の
価値しか存在せず、そんなものを好き好んで持ち歩くのは馬鹿でしかない。
それでも彼は、現金に持ち歩くだけの意味を感じていたのだろう。


二年前の俺なら、二十万円手に入れたら何をするだろうか?
そんなくだらない考えが一瞬頭をよぎり、何をするか思いつけないまま消えていった。
頭を振ってくだらない考えを完全に消し去った後、札束が入った財布を調べると社員証が出てきた。
俺でも名前を聞いたことがある、そんな大会社の社員証だ。だがそんなものこの世界では何の意味も無い。


とりあえず、個人が特定できるものを発見したので次の死体に移る。
顔面の半分が鋭い牙に食いつぶされた軍人と思わしき女の死体。
体の半分を酸で融解させられている男の死体。


げんなりしながらも、作業を続ける。
こういう死体確認と報告は、カオスティアの撃破ほどではないが金になる。


正確にはそういう情報を買い取ってくれる奇特な人間がこの世界にはいらっしゃるのだ。
おそらくまだまともな戦力が残っていて、そういう余裕のある行動が出来る連中なんだろう。


他人に汚れ仕事を押し付けて、自分たちはその汚れた手で集まった情報を見て何を思うのだろうか
知り合いが死んだことを確認して、悲しむのだろうか? それとも知り合いが生きている可能性を
求めるために死人の中にその名が無いことを確認したいのだろうか?


もしそうなら、吐き気がするほど偽善的だと感じるが
その偽善が無ければ俺たちは明日の糧を得られない。
そう考えると少しだけ暗い気持ちになって、手が止まってしまう。


リュウ君。そっちは何人くらい終った?」


俺の手が止まったのを見計らったように、リサが俺に話しかけてくる。
リサがまるでまだ高校に通っていた時に、園芸部の活動で
草むしりをしている時と同じまったく同じで変わらない笑みを浮かべていた。
そして、その手には五枚ほどの免許証と思われる何かが握られている。
おそらくそれだけの人間の身元を確認したのだろう。


「まだ、一人目だ」


正直に人数を報告すると彼女は笑顔のまま顔を傾けて


「もっとがんばらなきゃ、がんばればいつかまた合成肉が貰えるかもしれないよ?」


にっこりと、どろどろの血と何かが張り付いた顔でリサが笑う。
その変わらない笑顔に俺はほんの少しだけ恐怖を感じながら


「ああ、そうだな」


と感情の無い声で答えることしか出来なかった。


選択肢:
1:世界観説明の後に連載を続ける。
2:世界観説明無しに連載を続ける。


投票無しの場合、自動的に次回が最終回に。